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機器訪問利用

Ic pin 東京都

集束イオンビーム(FIB)装置

集束イオンビーム(FIB)装置の画像1
  • Ic equipment spec 概要:集束したイオンビームを試料に照射し、加工や観察を行う装置です。
  • 詳細・スペック

    備考
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    詳細・スペック

    <FIB装置の特徴>

    FIB装置(Focused Ion Beam; 収束イオンビーム)は、電子の代わりにイオンで収束ビームを作りだし、試料に照射することで加工や観察を可能にした装置です。イオン源としてガリウムなどの液体金属を用いるため、電子と比較して質量が大幅に大きく、試料原子と強い相互作用を起こします。主に下記の3つの機能があります。
    ①観察;イオンは試料との最初の衝突で2次電子を放出するため、検出器と組み合わせることで試料最表面を画像化できます(SIM;Scanning Ion Microscope)。
    ②加工;細く絞ったイオンビーム照射方向に沿った微細な加工ができます。
    ③成膜;ガスなどを導入することで、局所的に薄膜を形成することができます。
    上記のうち最も活用されているのが①と②を組み合わせた微細加工技術で、数百nm~数nmに絞ったビームで試料の状態を見ながら断面加工できるため、サブミクロンオーダーでの加工位置精度で正確に対象部位を狙うことが可能となります。FIBでの加工と同様の実験機器として、イオンミリング加工がありますが、大きな違いはFIBが加工位置精度サブミクロンオーダー、加工範囲20μm角程度であるのに対し、イオンミリングは加工精度数十ミクロンオーダー、加工範囲1000μm角程度など、比較的大きいサイズの対象を観察する際に用いられます。より微細な構造に注目する場合はFIBを使用すると良いでしょう。


    <FIB装置の原理>

    イオン銃またはイオン源と呼ばれる鋭利な形状の液体金属(通常ガリウムが用いられる)の先端と引き出し電極の間に電界をかけて、荷電粒子(ガリウムイオンのビーム)を引き出します。引き出された荷電粒子は、カソード電界で加速します。そのイオンビームを静電レンズで試料上に集束させ、静電偏向器で走査することが可能です。試料から放出される二次電子を走査と同期検出し、得られた走査顕微鏡像(SIM像)を基に加工領域を設定し、ビームを照射して加工を行います。
    イオン材料として通常用いられるガリウムは原子量が69.723 と重いため加工に十分なスパッタリング速度が得られ、かつ融点が29.8℃と低く、一度加熱すると室温でも液体の状態で存在し、濡れ性も保つため針先端部へ安定的に供給されます。


    <FIB装置の試料準備>

    イオンビーム加工前に試料の照射位置の打ち合わせが必要です。微少領域へビームを射出するため、あらかじめ各種顕微鏡などで加工位置を観察し、取得したいデータを得ることができる加工範囲(例として幅10μm×深さ10μmなど)を指定しておくと良いでしょう。またあまり大きな試料も装置へ入りませんので、試料はハンドリング可能なサイズまであらかじめ加工しておくことが必要です(例として10mm角、厚さ1mmなど)。
    可能な実験例

    ◯SIM観察

    イオンのスパッタ時に放出される二次電子を信号として可視化することにより画像として得られます。SIM像は、SEM像に比べて組成や結晶方位のコントラストが強く現れるため、金属などの微細構造組成の分布観察や結晶粒の観察などに適しています。

    ◯マイクロサンプリング

    透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro-scope)などにより微少領域を観察する際などに用いる微少ブロックの形成(マイクロサンプリング法)に用いられます。TEM 試料台に搭載後、ビームの特性とマニピュレータ機能を組み合わせて、厚さ100nm程度の目的部位を摘出します。またFIB加工と顕微鏡観察を繰り返し、得られた連続画像をコンピューター上で再構成することにより、試料の三次元構造解析が可能となります。

    ◯破断の難しい試料の電子顕微鏡観察像取得

    試料の断面構造を観察する場合に、破断の難しい試料(金属や有機物など柔らかく、破断前後で形状が変わってしまうの)にも機械的なストレスを与えることなく断面を得ることができます。例として半田ボールの断面加工や有機系太陽電池などが挙げられ、EDXなどの組成分析とあわせて活用できます。

    ◯微少領域の断面加工

    試料が均質でなく、観察したい箇所が試料断面の一部分や数μm程度の大きさである場合も、SIM観察しながら細く絞ったビームで断面加工を行うことができます。例として基板上の異物観察による成長メカニズム解析、めっきの不良箇所、未着部分観察など、狙って断面を出すことが難しい試料でも加工を行うことができます。


    ※組織により上記実験ができない場合がございます。

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