赤外分光光度計（FT-IR）

詳細・スペック

詳細・スペック

＜FT-IRの特徴＞

フーリエ変換赤外分光分析法(FTIR)は赤外分光分析法(IR)の１種であり、試料を透過または反射した赤外光を、フーリエ変換によりスペクトル化し分析することで、化合物の構造解析や成分を調べることができます。
FTIRは有機物全般の測定に適しており、短時間で簡易に測定を行うことができ精度も高いため、製造現場における異物の同定や、有機材料の品質評価、排ガス中の有機物モニタリングなどに使用されています。また炭酸塩やリン酸塩、硫酸塩などの一部の無機物についても測定を行うことができます。
顕微FTIRでは微小試料(20μm)の測定が可能であり、測定前に試料の前処理を行うことで、軟物質や液体物、ガスなどにおいても測定を行うことができます。

＜FT-IRの原理＞

赤外光は物質を透過または反射する際に、分子の振動や回転運動のエネルギーとして吸収される性質があります。吸収される赤外光の波長は分子構造に固有の値を示すため、試料に赤外光を照射し吸収された光を検出することで、物質に固有な赤外光の吸収パターンを得ることができます。この吸収パターンを横軸に波長、縦軸に吸収率のグラフとして示したものが赤外吸収スペクトルであり、既知物質のスペクトルデータベースと照らし合わせ、吸収ピーク波長が帰属する官能基を調べることで、試料の構造解析や成分を調べることができます。
FTIRでは干渉計によって波長の異なる赤外光を合成し、干渉波として試料に照射します。この干渉波は全波長領域の赤外光を含んでいるため、検出された干渉波をPC上でフーリエ変換し全測定領域の波長を同時に解析することで、短時間で高精度な測定が可能となります。

＜FT-IRの前処理について＞

フーリエ変換赤外分光分析法では試料の状態や測定方法によって、以下のような前処理を行う必要があります。

・透過法
固体または粉体の分析に使用します。固体試料をKBrプレートに挟み込むか、粉末化してKBr錠剤にセットし、透過した赤外光を測定します。試料が吸湿性を有する場合は、粉末化した試料と流動パラフィン(ヌジョール)を練り合わせ、ペースト状にしたものを窓板に塗布して測定します。高分子化合物など薄膜状の試料の場合は、赤外光が試料を透過するため、直接赤外光を照射し測定することが可能です。

・反射法
金属表面上の試料や液体物の分析に使用します。赤外光を金属表面に照射し、反射した
赤外光を測定します。液体物の場合は金属上で水分を蒸発させてから測定します。

・全反射(ATR)法
ゴムや樹脂、繊維、紙など軟物質の表面分析に使用します。試料にATRプリズムを密
着させ、試料とプリズム界面で全反射した赤外光を測定します。

可能な実験例

〇異物の同定

既知物質の赤外吸収スペクトルと比較することで、異物の同定ができます。

〇有機物の構造解析

赤外吸収スペクトルから、結合度や官能基の有無、シス-トランス異性などの構造を調べることができます。

〇品質管理

基準となる赤外吸収スペクトルと比較することで、測定対象の品質が要求仕様を満たしているかを調べることができます。

〇トランス脂肪酸含有量の測定

全反射法を用いることで、食品に含まれるトランス脂肪酸の含有量を調べることができます。


※組織により上記実験ができない場合がございます。

場所・アクセス

備考

東京都千代田区神田須田町２丁目３−１２KTCビル４F

※提供組織の状況によりご要望に添えない場合がございます。まずはご相談ください。

ユーザー登録限定コンテンツ

無料登録で料金など全ての情報を閲覧可能

ユーザー登録（無料）

ユーザー登録済みの方はこちらからログイン