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円二色性分散計(CD)
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円二色性分散計(CD)
概要:円偏光の吸収の差(円二色性: CD)を測定する装置です。光学活性な分子の構造や電子状態、立体配置に関する情報が得られます。
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※提供組織の状況によりご要望に添えない場合がございます。まずはご相談ください。
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<CDスペクトル(円偏光二色性)の特徴>
円偏光とは、光の波の進行に伴い振動面が回転する偏光で、右回りと左回りの二種類存在しています。光学活性物質は直線偏光の偏光面を回転させる旋光性を持ちます。光学活性な媒体中を直線偏光が通過した時に、左右円偏光の伝搬速度が異なるため不等吸収が起こり、通過後は楕円形となります。この現象を円二色性と呼び、光学活性を持つキラルな化合物に見られる現象です。また、楕円偏光の長軸・短軸間の角度を楕円率と呼び、右旋偏光と左遷偏光の吸光率の差から算出することができます。楕円率を縦軸、波長を横軸にプロットしたものがCDスペクトルです。
<CDスペクトル(円偏光二色性)の原理>
試料に遠紫外線や可視光線領域の波長の光を照射して測定します。
プロットするのは楕円率ですが、実際に測定する値は吸光度なので、試料準備が容易なことが特徴です。一般的に、光路長1mmのセルを用いた場合、試料量400µL、濃度0.1mg/ml程度の微量・低濃度で測定できるので、NMRやX線結晶構造解析よりも簡便に構造解析が可能です。
得られた測定データから、コットン効果により生じる特徴的な波形を読み取り、構造解析に役立てます。コットン効果とは分子構造間の結合の種類によって吸収する波長が変わることで、例えばアミノ酸を構成するペプチド結合やベンゼン環、不飽ケトンなど、それぞれ特定の波長領域で特徴的な波形を示すことが知られています。
<CDスペクトル(円偏光二色性)の測定する際の試料の前処理について>
セルに測定対象を溶解させた溶液を設置して測定します。溶媒は、波長領域に吸収がなく十分に透明なものを選択します。また、濃度変化により測定値に影響が出るため、揮発性の低い溶媒の方が適しています。ノイズの影響を出さずに適切な測定値を得るために、吸光度が2以下になるような濃度で測定を行います。
可能な実験例
・既知有機化合物の光学異性体識別
キラル分子のCDスペクトルは横軸を中心として対称となります。そのため、容易に光学異性体の識別が可能となります。また、既に構造が判明している化合物の類似体について、CDスペクトルを比較することによって立体配置の推定も可能です。
・タンパク質の二次構造推定
タンパク質に含まれるαヘリックス、βシート、不規則構造において、それぞれ特徴的なコットン効果が確認されています。構造未知のタンパク質のCDスペクトルを測定することで、ヘリックス含量の推定が可能となります。
・核酸の立体配座解析
DNAを構成する核酸は、二重らせん構造のピッチや含有する塩基によって特徴的なコットン効果を示します。なので、その立体配座解析のためにCDスペクトル測定が有用です。
・食品の昆虫混入時期推定
昆虫の体を構成するタンパク質が加熱処理により変性する性質を用いて、加熱処理の前後どちらで混入したかを推定することが可能です。昆虫類が特異的に有するタンパク質を測定対象にし、その二次構造変化を追うことで実現します。
※組織により上記実験ができない場合がございます。
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